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2008年5月13日 (火)

岡鹿之助展

2008年5月13日(火)「岡鹿之助展」(ブリジストン美術館)に行った。夜8時まで開けておいてくれる「サラリーマンの味方」ともいえる美術館だ。有難い。「国展」の報告が途中だが、割り込みで記事を書くことにした。

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テーマごとに分類して展示する方式が採られていたが、これは類似作品を比較しながら鑑賞できるので嬉しかった。私は第9室の「7章:群落と廃墟」と「8章:城館と礼拝堂」が最も楽しめた。 特に好ましく感じたのは「群落A」だ。

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岡独特の上品な色調が堅固な構成に乗り、観ていて楽しく飽きない。茶と緑が支配する画面に一部青が混入しているが、これが不思議とマッチしている。躊躇なく絵葉書を購入した。 もう一つ「僧院」も良かった。

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「群落A」同様、斜め上から見下ろした風景だ。建物の前に樹木が数本立ちはだかっているが、意外に邪魔な印象を受けない。むしろ画面を引き締める効果があるようだ。これも絵葉書を購入。

第10室の「融合」は読んで字のごとく複数テーマを融合した作品を並べたものだ。しかしあまり強い印象を受けなかった。いくつかのモチーフやテーマを同一画面におさめようとする試みは良いと思う。しかし、出来上がった作品として何か物足りないのだ。 これはたぶん岡が清楚な風景画家だからだと私は思った。

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もう少しシュールがかった作家なら、例えば建物と花を並べる場合、その比率などを無視して異質な物の出会いを創出するであろう。それに対して岡のような「真面目な」絵では、対象物一つ一つは魅力的でもそれらが複数あることにより、逆に重心が失われた感じになるのではないか。 これは決してそれらの絵が不出来だという意味ではない。岡の絵はみな素晴らしいが、それらの中で比較してみたら、上記のような印象を受けたというだけだ。岡ファンの方、誤解なきよう。(フォローになってないかな?)

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コメント

ご案内の絵はがきをいただいたので、さっそく観に行ってきました。鹿之助は関心を持っていましたが、このように整理されている状態をじっくり鑑賞したのは初めてです。最初に鹿之助が影響を受けたフジタ、ルソー、クレー等の作品が列せられたいい企画です。僕は大きな影響がある、と見て作品を眺めていったし、本当にその影響は大きかったと感じました。そしてなんとなく西洋音楽、クラシックの作曲家を連想していました。ドメニコ・スカルラッティあたり。歌やドラマではなくすごく器楽的。「融合」の部屋は何度も何度も行ったり来たりしました。案外創作年代もばらけているし、静かな力を感じる他の作品群に比べて、ざわざわした印象が拭えなかった。一つだけ浮かんだ言葉は「生と死」。鹿之助の心のブレ、自分が他では表現してこなかったものへこだわりがあり、それを描いたのか。「融合」の部屋を見てから前の部屋へ戻ってみると、心のざわめきを鎮めたところから作品が生まれていたのか、とも想像してみた。万物流転の上での建物のかたち、万物流転がおさまったかたちとしての雪景色か。本来、灯台は光が動いているもの、発電所は水が流れているもの、美はそれを払拭することから生まれる、とも受け取れた。そんなこんないい時間が過ごせました。

ハシビロコウさん、コメントありがとうございました。

「融合」に関して私のように第一印象で切り捨てず、他と関連付けて考えるあたりはさすがですね。音楽への例えも興味深いです。

今後に向けて大変参考になるコメントでした。重ねてお礼申し上げます。

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