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2008年2月15日 (金)

両洋の眼展

2008年2月14日(木)

2008両洋の眼展」(三越日本橋本店)に行った。おなじみF君が招待券を手配してくれたのだ。以前はこのような中堅作家の作品を多数並べた展覧会に興味がなかったが、最近は面白くてしょうがない。それは様々な個性を見比べることができ、新たな発見があるからだ。

チラシの表に刷られている3作品はまるで異なるタイプの絵だ。

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既に高名の佐野ぬい「余白の様式」はトレードマークの青色が美しかった。小杉小二郎「エミール・ゾラの館」はキリコを想わせる不思議空間だ。

そして田村能里子「赫い記憶」。これはとても良かったので絵葉書を買った。

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作品名通り赤を基調としているが、色相に微妙に変化をつけている。線も女性らしい繊細さが見られる。それでいて、全体構成では不思議と力強さを感じさせる。これらの相反する要素を併せ持つ魅力がそこにある。いいなあ。

チラシの裏を見ると、これまた個性が異なる3作品が紹介されている。石井礼子は平塚の美術館で個展が開催されたので観に行った。今回久しぶりに作品との再会だ。

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奥村美佳「雨あがり」はとても気にいったので絵葉書を購入。

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建物の淡い色彩が1軒1軒微妙に変化している。また線の重なり合いは、「アジアのキュビズム」で知った「透明キュビズム」の雰囲気を持っていて美しい。抽象的な構成感もいいが、透視図法により一種の心象風景としても観賞できる。素晴らしい作品だ。

千々岩修「和音」も良かったので絵葉書をゲット。

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これは写真より本物のほうがずっといい。というより、このような抽象作品は実物でないとその味わいが半減するようだ。「和音」という私好みの名前だが、名前負けしていない。線が弱く、その分色彩中心で構成されている。色彩といってもマティスのように色面で構成するのではなく、微妙な色と形が溶け合ったり、反目しあったりして繋がっている。作者の力量を感じさせるすごい作品だ。

司修「魔術の手帖」は河北倫明賞受賞作品だ。

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澁澤龍彦の「黒魔術の手帖」に触発されて制作したという解説はずるい!それだけで引き込まれてしまうではないか。でもこれは冗談で、作品そのものもよくまとまり、変化もあり、素晴らしい出来だと思う。何しろ観ていて楽しいし飽きない。

元永定正「しろいせんといろながれ」は楽しい抽象構成だ。

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こういう作品は理屈抜きにまず観て楽しみたい。そうすれば幸せになれるのだ。

玉川修一「灰の光」はユニークな作品だ。

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これに似た作品はあまり観たことがない。誇張された遠近法の画面にトルソーが配置されているというとキリコを想わせるが、かなり異なる個性だ。心象風景の画面だが厚手の生地を配置したような質感・素材感が現実を呼び戻すような、そんな錯綜した感じがある。それに浸ると一種の船酔いみたいな気分になるから不思議だ。

末永敏明「Erdschicht(地層)」も河北倫明賞を受賞している。

_erdschicht

とても楽しい作品だ。フォロンの絵に似た雰囲気がある。地層は細かく描き込まれているが、色と形に変化があり、それが楽しさを倍加している。火山の噴火のような光景らしいが、恐ろしさ・深刻さがまるで感じられず、底抜けに明るい。疲れた時など力を与えてくれそうな作品だ。

他にいろいろな作品があり楽しめた。
♪池口史子(ちかこ)(以前新宿で個展を観た)の「中庭」は力強い女性像が印象に残った。
♪島田章三(平塚で個展を観た)の「うつわをめでる」は具象作品なのだが抽象的構成が背後にあり好感度が高いコンポジションだった。
♪内田あぐり(茅ヶ崎で個展を観た)の「にんげんが-、いきものが- の為の習作」は習作であるのに、完成した大作の雰囲気を醸し出していた。
♪山本直彰の「何故私を見捨てるか」は画面いっぱいに描かれた×の形にまとわりつく柔らかい形態の構成が面白かった。
♪高橋秀の「黄金の綾Ⅱ」は広く金箔が塗られているにもかかわらず、いやらしさを感じさせないのが不思議だった。金昌永の「Sand Play 0712-F」は砂の構成が浮き出るような迫力があった。
♪平岡靖弘の「風ヲ待ツⅡ」は有元利夫を想わせる古典的な雰囲気があった。
♪滝純一「過ぎし刻(とき)」は金箔が嫌味なく感じられた。また写実だがサンボリズム的で独特のムードがあった。

1つの展覧会でこれだけの個性を楽しむことができるのはとても嬉しい。F君、招待券の手配本当にありがとう。

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コメント

こんばんわ☆

工藤 紗欧里コト~サリーです!
美術館楽しかったデスネ!

私も田村さんの作品好きダナ~~~☆

サリーさんコメントありがとうございました。都現美のサウンド・デリバリーと打上げは楽しかったですね。

田村さんの作品は私の好きなタイプではないのですが、「タイプ」でなくても惹かれるものがあります。たぶん作品が優れているからでしょう。それは色彩なのか、それとも何なのか・・・。そんなことを考えるのが好きです。

私も~タイプ!?では~ないです☆☆☆正直!?

しかし~~~興味深いもの感じました!
何度も足を運びたくなる作品デス!

「タイプではないが惹かれる」という研究課題ができましたね(笑)。「ルックスはタイプじゃないが、なぜか惹かれる」異性の存在みたいですね。

KYOUさんは「タイプ(ライター)ではないが(鍵盤を)弾かれる」・・・またオヤジギャグ失礼しました!

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