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2008年1月29日 (火)

半券の復権 その10

2008年1月29日(火)

マティスの3つの展覧会で作られた半券を比較してみた。

_1981_

これは1981年。不思議なのは「世紀の巨匠」というキャッチだ。この頃、マティスは日本でも既に有名になっていたから、ごていねいに巨匠という称号を添えなくても展覧会の重みは減じないと思うんだが。

_1988_

これは1988年。ユニークなのは作品の写真を使わず、文字のデザインで構成した点だ。半券を制作したデザイナーあるいは企画者がよほど自信があったのだろう。確かに色彩、フォントのスタイル、全体構成が上品で心地よい。「色と線のシンフォニー」というキャッチも「巨匠」などよりはずっと洗練されている。

_2004_

そしてこれは2004年。さすがにこの時代になると余計なキャッチは添えられていない。「マティス」そのもので勝負している。文字は小さいが「企画協力」の項目に「ポンピドゥーセンター」と書かれており、さりげなく展覧会のイメージアップをしているようだ。

こうして時代を追ってみると、キャッチの変遷がとても興味深い。

2008年1月23日 (水)

時事俳句:株下落で一句

2008年1月23日(水)
久々に時事俳句を作ってみた。

   初雪で薄化粧して媚びる株

時事川柳/俳句を手がけると、どうも内容が暗くなっていかんな。明るいニュースが少ないからか。皆さん、楽しいことをいっぱいやって明るいニュースを作ってください。

2008年1月22日 (火)

あかり/光/アート展

2008年1月22日(火)

「あかり//アート展」(松下電工汐留ミュージアム)に行った。

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圧巻は桑原弘明の「SCOPE」と名付けられた覗き小箱だ。この展覧会では3つの作品が展示されていた。覗き穴に眼を当てスイッチを押すと、小箱の中に作られた部屋の情景が一変する。この素晴らしさは実際に観た人でないとわからないだろう。「玉虫厨子」、「廃れゆくものへ」、「遠い星」のどれも個性と独特の美しさに満ち溢れていた。

また江戸以来の照明器具については、並置による構成美を感じて面白かった。一つ一つは何てことないもの(蜀代、ランプなど)を並べて展示すると、一種独特の美を形成するのだ。これは展示物から遠ざかって振り返りざまに見ると、一層その魅力が強まる気がする。

会場外に設置されたビデオでは、ろうそくの東西比較が取り上げられていた。西洋ろうそくは炎が安定しているのに対し、日本のろうそくはちらつきがあり、それが風情を強めているというのだ。実際に屏風絵を和ろうそくの光で観るという展覧会の映像が紹介されていたが、なるほどと思った。

工芸の力-21世紀の展望

2008年1月22日(火)

「工芸の力 - 21世紀の展望」(東京国立近代美術館 工芸館)に行った。展示点数が少なかったのが不満ではあったが、好みの作品にも出会えたし、新たな発見もあったので良かった。

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田口善明(たぐち よしあき)の美しい飾箱が8点展示されていた。私はこれらのうち、平文蒔絵螺鈿飾箱「春景」(ひょうもん・まきえ・らでん・かざりばこ・しゅんけい)と、チラシの裏に紹介されていた青貝蒔絵飾箱「緑葉」(あおがい・まきえ・かざりばこ・りょくよう)が気に入った。

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2点をひいきにしたのは、抽象的な図柄だからだ。他の作品は海老や扇などが半ば写実的に描かれており、これが私の趣味に合わなかったのだ。細かい長方形、三角形の構成自体が充分美しく、さらに漆や螺鈿の持つ光沢と上品な質感が加わるので、それで充分ではないかと思うのだ。これは好き好きなので仕方ないとは思うが。

福本潮子(ふくもと しほこ)の藍染・絞染作品「銀河」は素晴らしかった。藍色の地の上に星の群れが白抜きのドットで表現されており、どちらかというとその題材と構成は月並みなものだった。しかしそのあたりまえの土俵で、素材感、色彩感だけで勝負した結果、引き込まれるような効果が得られていた。


高見澤英子(たかみざわ ひでこ)の「DAPHNE」と題された3作品は不思議な魅力をたたえていた。ガラスの瓶を飾り立てたオブジェを3つ並べただけなのだが、その空間に何かしら妖艶な雰囲気が漂っている。

ギリシャ神話では、エロスに金の矢で射られたアポロンが、同じく鉛の矢で射られたダフネに求愛するが、ダフネは拒否し続け最後に月桂樹に変身するという話になっている。例えばこの神話を書籍に仕立てたら、高見澤作品の写真が挿絵としてさぞ似合うだろうなと、なぜか納得してしまうのである。

須田悦弘(すだ よしひろ)は窓枠に人工的に作った木の葉を置くというインスタレーションのような作品を発表していた。これらの作品はとてもリアルで、まるで本物の葉のように見えた。コンセプチュアルのDNAを継承している作品であろう。

2008年1月15日 (火)

半券の復権その9

2008年1月15日(月)

おなじみF君から年賀をもらった。40年前に新潟県で開催された展覧会の半券だ。今年初めて半券をもらったので「貰い初め」と呼ぼうか。この小さい半券には、実に多くのドラマが封入されている。

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時代背景をみてみよう。
1964年(昭和39年)06月 新潟地震
1967
年(昭和42年)11月 新潟県民会館開館(新潟地震復興義援金を基礎に)
            
その3階に、新潟県美術博物館開館
1968年(昭和43年)07月 松方コレクション展(11万人を超える参観者)
1968年(昭和43年)10月 東京国立近代美術館特別公開展(本半券)

被害は4年前の新潟県中越地震に及ばなかったとはいえ、新潟地震は2千棟近くの家屋が全壊する大惨事を招いた。その復興義捐金で新潟県美術博物館が生まれた。その翌年に開催された松方コレクション展が大盛況となり、復興を形にした。そして同年、その勢いでこの半券の展覧会が開催されたのだ。

この企画をみると「東京一極集中」が気になる。「東京」の所蔵作品を公開するからみんな観においで、という図式だ。40年前だから仕方ないのか。でもそれでは現在はどうだろう。一極集中のはずの東京でさえ「フィラデルフィア美術館展」などが開催されている。東京よりさらに集中している所があるからか。そうは思わないんだがなあ・・・。

私は筋論でいけば美術品はその生まれた土地に主として置かれるべきだと思う。知名度を上げたり、所在をPRするために若干の作品を世界各地にバラまくのは構わないと思うが。しかしこの論を確かなものとするためには世の中のモビリティが高くならないとだめか。つまり人々が世界の他の地域へ安価に速く移動できなければ、ある種の作品は一生眼にすることができなくなるからだ。

この小さな半券ひとつでこれだけの議論に発展してしまった。また機会ある毎に同様の「独り議論」を楽しむとするか。

2008年1月 7日 (月)

展覧会初め

2008年1月7日(月)

「プラハ国立美術館展」(そごう美術館:横浜)に行った。これが今年の展覧会初めとなった。

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フランドルの宗教画、風景画、静物画、風俗画を紹介するものだが、実は私はこれらの分野はあまり好まないので満足度はイマイチだった。じゃあなぜ行った?と突っ込まれそうだが(笑)。

実はおなじみF君がチラシを送ってくれたので、つい足が向いたのだ。でもさすがF君で、観るべきポイントは抑えておいてくれた。細密画と呼んで正しいかどうかわからないが、小さい円形の画布に細かく描かれた作品の出来が素晴らしかったのだ。

また私好みの「幻想もの」も若干ながら展示されていた。フランドル派(作者不明)の「バベルの塔」は面白かったので絵葉書を買った。

Photo

その他、寓意に富んだ作品や一部にだまし絵の技法が取り入れられている作品も興味深かった。総華的で構わないからフランドルの作品群を俯瞰しておきたい、という目的を持った人に向いている展覧会だと思う。

2008年1月 5日 (土)

楽曲分析初め

2008年1月5日(土)

音楽ライターのハシビロコウさんが、ツェムリンスキーの弦楽四重奏曲第2番はシェーンベルクの「浄夜」を引用しているとブログに書かれていた。たまたま私は両方のスコアを持っていたので引用箇所を探してみた。ところがこれが難しいのである。

やっとこさ見つけたところがあるが、自信がない。弦楽四重奏曲第2番のAdagioの途中に「Steigernd」という箇所があり、そこにある音型が「浄夜」の「Drangend」というところに出てくる音型に似ているのである。でも本当にそこが引用箇所なのか。

どうせなら、この弦楽四重奏曲第2番をもっと詳しく譜読みし、和声などの分析を「浄夜」との比較のもとに進めようか。そうだ、それを今年の課題の一つにしよう。

なんてまた適当なことを書いてしまったが、この課題は難しそうだな。両方とも調性が残っている曲とはいえ、無調に近い部分も多いし、リズムも奔放に変わる。計画倒れになるのがオチだろうか。まあいいや、暇なときにゆっくりやろう。というわけで、楽曲分析初めは課題提起に終ってしまった。

2008年1月 4日 (金)

撮り初め

ちょっと戻って2008年1月1日(火)

Dscf0952

この青い空とおおらかな樹を見てください。いいでしょう?写真は下手ですが、対象が美しいと思いませんか?(独り悦に入っている。)

場所は某ラーメン屋の店の前です。(ここでガクっとくる。)単に「伊豆で撮った」と書いておけばいいものを、余計な事を書くからイメージダウンするんだ。

この風景にかこつけて何か気のきいた事を書きたいけど、残念ながらそんな文才は無い。ド素人なんだからスカっとした写真を撮れただけで満足しよう。

えっ、このラーメン屋はどこにあるかって?それは企業秘密です。

2008年1月 3日 (木)

編曲初め

2008年1月3日(木)

友人のヴァイオリンと私のチェロでパーティの余興をやろうと画策した。

一つはモーツアルト作曲「魔笛」の「夜の女王」のアリア。これはフルート2本のための編曲が市販されていたので第2フルートを1オクターブ下げてチェロで弾くことにした。

もう一つは「冬ソナ」の「はじめから今まで」。これをヴァイオリンとチェロの二重奏に編曲した。著作権の問題があるので、コンサートで弾けないのが残念だ。でもホームパーティーなどで親しい友人に聴いてもらう機会はあるだろう。これが今年の編曲初めになった。

次は作曲初めだ。過去2年続けて有名作曲家の作品を題材に新年向けの曲を作った。昨年は没後100年のグリーグ、一昨年はメモリアルイヤーではないがベートーヴェン。いずれも弦楽四重奏曲のさわりに「お正月」のメロディーをはめ込んだパロディーものだ。

今年はディアベリが没後150年、サラサーテとリムスキー=コルサコフが没後100年、プッチーニが生誕150年、フローラン・シュミットが没後50年、エリオット・カーターが生誕100年だ。うーむ触手が動く対象が少ないなあ。フローラン・シュミットはピアノ五重奏曲が好きだけど、パロディーにはしにくいし、エリオット・カーターの弦楽四重奏曲は面白いけど楽譜は値段が高いだろうしなあ・・・。そうこう考えるうちに時間が経過する。今年はパロディーものを作る時間はなさそうだな。残念。

弾き初め

2008年1月2日(水)

我が家に親戚が集まった。

弟は私と同様、チェロとピアノを弾く。そして両方とも私より上手だ。早速チェロとピアノの二重奏を、楽器を取替えながら楽しんだ。

私のチェロ・弟のピアノでまずテレマンのソナタ ヘ短調。これはフルートでよく演奏する曲だがオリジナルはどうもチェロまたはファゴットと通奏低音の為に書かれた曲らしい。私はこの曲が大好きでよく弾いているので、いつの間にか全楽章暗譜してしまった。古典派やロマン派はいい音が出せないがバロック音楽になると不思議とチェロが鳴る。学生の頃バロックアンサンブルを楽しんだためか。

次に弟のチェロと私のピアノでバッハのビオラ・ダ・ガンバのソナタト短調とニ長調。実は正月早々、体調が思わしくなかったのだ。でもバッハを弾いていると、その間だけ異常に元気になる。そしてその後リバウンドが来てダウンする。まるでドリンク剤みたいだ。長い間弾いていなかったから、あちこち間違えたが楽しめた。

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