« イギリス館でのサロンコンサート | トップページ | 米国旅行:近代美術館で観た未来派作品 »

2007年9月17日 (月)

米国旅行:メトロポリタンで観たモダン立体作品

2007年8月23日(木)

ニューヨーク メトロポリタン美術館にて

メトロポリタン美術館の近・現代美術のコレクションの中にはMOMA(近代美術館)に劣らず面白い作品がある。その中で特に興味深い立体作品をあげてみよう。

Dscf0248

まず最初は既に高名になっていると思われるピーター・ヴォーコス。1995年新年にセゾン美術館で開催された個展を観て以来、2004年夏に世田谷美術館で開催された「アメリカ現代陶芸」展など各種の展示会で常連のように取り上げられてきたのでファンの数も多いだろう。これは「Noodle」という作品。Noodleとは字面とおり「麺」という意味だろうか。麺を暗示するものが見当たらないのでこのネーミングは言葉遊びかもしれない。釜の火力に耐え切れず内部から破裂したような裂け目がなんとも強烈な印象を残す。

Dscf0250

次はウィリアム・モリスの「Suspended Artifact」。文字通り「吊り下げられた芸術品」だ。赤いのものは盾であろうか。表面には古代人の戦争らしき絵が描かれている。これに対して右側の白いものは象の牙なのだろうか。そしてそれらを吊るしている横向きのものは矢尻が付いているから矢であろう。これら、攻撃する武器(矢)、守る武器(盾)、そして戦利品(牙)が一体化され、それらの相互関係をシンボライズしながら一種の文明批判をしているのだろうか。抽象的な構成の魅力と社会性を併せ持つ作品だと思った。

Dscf0247

ルース・ダックワースの「Untitled 1998: Wall Sculptures」は、1998年に制作された「無題:壁の彫刻」だ。ジョヴァンニの撮り方が下手で上が切れて申し訳ない。壁に垂直に張り付いた彫刻だとすると、これはレリーフとも呼べそうだが、作者は「壁」にこだわっている。曲線を主体とした現代建築の模型をいくつかの断片に切断し、並び替えて垂直に貼りなおした・・・という感じがした。曲線と直線が織り成す抽象的構成。いいなあ。

Dscf0251

アルバート・パレイの「Push Plate」は「押す板」か?題名の意味がわからない。でも形態が面白いので取り上げてみた。1978年の秋、出光美術館で開催された「特別展:アンドレ・マルローと永遠の日本」で観たジョルジュ・マチューの書きなぐり作品の形を思い出した。直線の上に即興的な曲線が載って調和しているところが良いと思う。あるいは精緻な計算に基づく形態と、思いつくままに即興的に構成された線の中間に位置する作品と言い換えてもいいかもしれない。

Dscf0249_2

ジョン・セダーキストの「Little Wave」はそのまま「小波」と訳せる。なんと作品の中にも「小波」と漢字で書かれているのだ。北斎を思わせる波の描写も面白い。また作品の下部はアンバランスで、いかにも倒壊しそうな感じだ。不安定であることは、逆に動きも感じさせる。波の動きが造形物全体の動きに置き換えられる。静止していながらも「動」を実感させる面白さがここにある。同時に西洋と東洋も同時に感じるというおまけまでついている。

Dscf0253

最後は近・現代コーナーではなく、調度品のコーナーに展示されていた作品だ。カルロ・ブガッティの「Secretary」。中心付近に鏡が据付けられている。(そこにジョヴァンニが映っている)。なおSecretaryは「書記官」と「事務机」という意味をダブらせ、両者のイメ
ージを混成させたものだと思うがどうだろうか。古めかしい重厚さと、モダンな構成感覚とが不思議にマッチしている作品だと思う。

こうやって立体作品のコーナーを観賞してゆくと、メトロポリタン美術館でも近代美術館に劣らずモダン感覚に触れることができてよかった。

« イギリス館でのサロンコンサート | トップページ | 米国旅行:近代美術館で観た未来派作品 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/163862/7973700

この記事へのトラックバック一覧です: 米国旅行:メトロポリタンで観たモダン立体作品:

« イギリス館でのサロンコンサート | トップページ | 米国旅行:近代美術館で観た未来派作品 »

最近のトラックバック