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2007年2月28日 (水)

半券の復権 その1

絵葉書コレクションの紹介を始めたら、展覧会の半券も披露したくなった。昔、展覧会なるものに通い始めた頃は、小遣いをはたいてやみくもに図録を買っていた。その代わり無料で持って帰れるチラシなどは捨てていた。もったいない事をしたものだ。しかし、どういうわけか半券だけは、殆どが後生大事に保存してある。理由はわからない。そのお陰でこうして面白い半券を紹介することができた。

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これは何でしょう?2000年に東京都庭園美術館で未来派のアーティスト、デペロの個展が開催されたが、その半券だよ。作品に細工が施され、絵文字で「DEPERO」と書いてある。それぞれの文字に対応する作品選択や、色彩コーディネートなど、なかなかの出来だと思う。こうして見ると、たかが半券といっても作り方によっては表情豊かになるんだなあと感心した。それに比べると、ただ文字と絵をきちんと並べただけの半券がつまらなく見えてしまう。

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これは同展のチラシの表。この作品が半券の絵文字「DEPERO」のうち2番目と3番目の「EP」をぶち抜きで飾っている。半券をデザインした人はよく考えたんだな。それにしてもこの作品は楽しいなあ。街全体が踊り出したみたいだ。

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これはチラシの裏。半券の絵文字に使われている作品が2つ程度見える。紹介されている作品のどれもみな楽しさに満ち溢れている。原色に近い派手な彩色でも嫌味を感じさせないのはさすがイタリアの感性だ。絵葉書もあるけど、それは忘れた頃「絵葉書の世界 そのXX」であらためて紹介することにした。

2007年2月27日 (火)

絵葉書の世界 その5

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これは小山冨士夫の「白掻落秋草文瓶」。出光美術館での個展で売っていた絵葉書だ。全体の形はシンプルだが、その周囲を縦横無尽に走る亀裂のような黒い線は大胆きわまりない。それらの線にまとわり付くように配置された点やボカし。微妙な濃淡のグラディエーション。どれを取っても味わい深い。

この展覧会と相前後して、岩手県在住のいとこ(陶芸家)が久しぶりに東京に来たので一杯やった。彼によると小山冨士夫は素人芸なんだそうだ。うーむ私のような素人から見ると一流のプロに見えるけどなあ。しかも小山は二代目清水蔵六をはじめ浜田庄司、北大路魯山人、バーナード・リーチなど一流どころに師事しているじゃないか。何が素人芸なんだろう?でも陶芸のプロであるいとこが言うんだから、きっと何かそうような要素が小山作品に見られるのだろう。そして、それが決して悪いということではなく、むしろ肯定的な意味なのではないだろうか。

そういえば小山は私の大好きなアヴァンギャルド陶芸家、八木一夫にも学んでいる。そんな側面も、小山作品の世界を広げているのではないだろうか。この絵葉書の作品を見る限りでは、すっ飛んだ八木作品の影響は何も感じられないけど・・・。

2007年2月26日 (月)

絵葉書の世界 その4

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これも妻に送った絵葉書。ニキ・ド・サンファールというと彫刻のほうが多く紹介されているかな。でもこのような絵もなかなか魅力的だと思う。

これはギャラリー「スペース・ニキ」のオープン記念展覧会で買ったものだ。ピアノも置いてあり、ちょっとした現代音楽のコンサートなんかに向いた雰囲気があったので印象に残っていた。

実はもっと以前は、このような作品はあまり好まなかったんだ。ところがその後好きになった。その過程は、絵葉書に自分で書いた文章に表れていた。

「このニキ・ド・サンファールだけは、無視できない何かを持っているんだよね。何というか、強烈な個性というか・・・。そして、その個性があまりにも強く、自信に満ち溢れて、堂々としているので、つい一目置いてしまう、そんな感じなのだ。」

昔はこんな事を書いていたんだなあ。

2007年2月24日 (土)

第3回半世紀記念コンサート

「第3回半世紀記念コンサート」(横浜市イギリス館)に出演した。ヴァイオリンのJ君が「1番と1番のあいだに在るもの」というタイトルを考え出した。うーむ哲学的でもあるが、内容がないよう(失礼!)でもあり、なんとも不可思議な表題だ。横浜市の広報に掲載され、このコンセプト(?)についての問い合わせが入ったとのことだ。変わったネーミングはPR効果を生むんだね

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今回のコンサートは産みの苦しみだった。本番直前にヴァイオリンのM君が抜けるというハプニングに見舞われ、予定していた弦楽四重奏曲2曲が御破算になってしまったのだ。それが判明したのが木曜の深夜だったから、実質的にはコンサート前日(金曜日)しか時間的猶予がなかった。それでも百戦錬磨の半世紀メンバーはめげず、モーツアルトのフルート四重奏曲とラフマニノフの6手連弾の2曲を代替曲として準備した。プログラムも急遽訂正刷りを作った。たった1日でよくここまで成し遂げられたと思う。

チェロという楽器の性格上、他の楽器に比べて出番は圧倒的に多い。今回も9曲中、半分以上の5曲に登場したのでさすがに疲れた。

今回の冒頭を飾ったのは、ブラームスの弦楽四重奏曲に代わり急遽準備したモーツアルト作曲フルート四重奏曲第1番だ。フルートは某社の重鎮S君。プログラムを作ってくれた功労者だ。直前の訂正版も作り、演奏も準備するので大変だっただろう。お疲れ様。ヴァイオリンは今回の会場手配など中心的な役割を果たしてくれたJ君。この曲で一番演奏が難しいパートであるヴィオラはT君。細かい音符が続いて大変だったね。チェロはジョヴァンニ。

続いてメンデルスゾーン作曲ピアノ三重奏曲第1番より第2楽章。ピアノはご伴侶が私と同じ会社のMさん。ピアノは右手だけで伴奏を弾きながら旋律を歌わせるので難しいんだ。今回初登場だけど、まとまりのいいアンサンブルに貢献してくれた。ヴァイオリンは続けてJ君。チェロはジョヴァンニ。

次は某社重鎮S君のフルートに妻のピアノ伴奏でシューベルト作曲「しぼめる花」の主題による序奏と変奏だ。この曲はフルートパートが技巧的に書かれているのだが、なんと伴奏のピアノも難しいので有名なんだ。ピアノのYさんによると、この曲、フランクのヴァイオリンソナタ、プロコフィエフのソナタが伴奏ピアノが難しい三大曲だとか。よくやるなあ。

1曲休んで次は妻との連弾で自作自演。ブログにはまったお陰で筆が止まっていた作曲だが、今回久々に新曲の発表だ。ピアノ連弾の為の前奏曲とフーガで、題して「山鳥の宴」。ウェブで検索すると、山鳥の鳴き声を聞かせるサイトがある。その中から面白そうなものを譜面に採り、組み合わせて作ったのだ。フーガはシジュウカラの泣き声を引き伸ばし、変形させたものをテーマとした。メシアンが創意した全音と半音が交互に並ぶ音階を採用した。最初はフーガ全部をこの音階で統一したのだが、妻から「暗すぎる」とクレームがあったので、長三和音が鳴る明るい部分を挿入した。さらに受けを狙って楽譜の表紙に凝ってみた。

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この表紙、いいでしょう!一番上に書いてある名前は、イタリア人作曲家っぽく見えるよね?中央の写真はコーネルの作品で、以前妻に宛てて出した絵葉書をスキャンしたものだ。だから最近始めた「絵葉書の世界」としてアップしても良かったんだけど、今回は楽譜の表紙を飾ることにした。

続いてドビュッシー作曲の2曲「バラード」と「ロマンティックな円舞曲」をピアノ連弾にアレンジしたもので、YさんとRさんが弾いた。Rさんは「トリオレヴリー」でJ君と私とユニットを組んでいる人だ。

次は今回急遽プログラムに追加したもう1曲、ラフマニノフの6手連弾(ピアニスト3人)だ。前の曲の二人に妻が加わった。プロのピアニストが3人で弾くとすごい迫力だな。

休憩後の最初はドップラー作曲「リゴレット幻想曲」。某社重鎮S君(アマチュアだがプロみたいにうまい)とご伴侶のMさん(プロの中でも上手なほうのプロ)の仲むつまじい演奏だ。しかしこの二人のうまさは尋常ではないよ。猛烈に速いパッセージをハモりながらピタっと合わせて吹くんだ。ピアノ伴奏はYさん。

次のバッハ作曲ヴァイオリン協奏曲第2番の伴奏に参加した。ソロヴァイオリンはヴィオラ担当T君のご子息だ。子供だと侮るなかれ、素晴らしい演奏を披露し、お客様はもちろん仲間うちでも驚きの声が上がった。伴奏は弦楽四重奏の予定だったが第1ヴァイオリンのM君が降り番になったので急遽フルーティストのMさんに代役をお願いした。第2ヴァイオリンはJ君、ヴィオラはT君。チェロはジョヴァンニ。ピアノはYさん。バロック音楽の協奏曲はソロパートに次いで通奏低音(今回はチェロとピアノ)が活躍するので楽しくてしょうがない。ただ第2楽章は音程を保持するのが難しく、ストレスフルだったな。

最後はラフマニノフ作曲ピアノ三重奏曲第1番「悲しみの三重奏曲」だ。ピアノはRさん、ヴァイオリンはJ君、チェロはジョヴァンニで「トリオレヴリー」として活動しているメンバーだ。練習回数が多く指導者のH君のアドバイスも受けていたので安定していると思った。しかし、疲れが出たせいか、いいところでミスをして完璧な演奏をフイにしてしまい、他の二人に申し訳ないことをしたなあ。

無理矢理(?)のアンコールとしてブラームス作曲ハンガリア舞曲第6番とエルガー作曲「愛の挨拶」のピアノトリオ編曲版で演奏した。

そして打上げは四五六菜館。降り番のM君も仕事を終えて駆けつけてくれた。二次会はAthensで松ヤニのワイン。疲れていたのでアルコールが回り、フラフラしながら帰途についた。長い一日だったな。

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2007年2月19日 (月)

絵葉書の世界 その3

来週末のサロンコンサートに向けての作曲が忙しく、このところ展覧会に行けない週末が続いている。そのためブログを書こうにも材料が無い、と思ったら「中年とオブジェ」さんが絵葉書のことを思い出させてくれた。ありがたいことだ。3回連続になってしまったけど、秘蔵の絵葉書を公開してしまおう。

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れは何でしょうか?

1.ジョヴァンニが小学生の頃に描いた絵

2.魚河岸を西洋人の画家が描いた作品

3.動物に変身できる宇宙人の姿が描かれた壁画

またくだらない事を書いてしまった。これはカナダ・エスキモーのアーティストの作品だよ。素晴らしいよね?色彩が豊かだし、微妙なバランス感覚に溢れているし・・・。人間も動物も一体となって大きな生態系を形成しているかのように、両者の濃密な関係が暗示されている。その中に生きる喜びが表現されている。いいなあ。こんな素晴らしい絵は絶対に小学生には描けないよ。だから1.は悪い冗談です。言いたかったことに近いのは3.かな?

 

絵葉書の世界 その2

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これは何でしょうか?

1.「ネクロノミコン」の写本

2.クレーの作品

3.長男が5歳の頃書いた字を逆さにしたもの

4.ジョヴァンニが結婚前に婚約者に宛てた手紙

1.と答えた方は、ジョヴァンニの趣味をよくご存知で、かつユーモアのセンスも併せ持つ素晴らしい方です。

2.と答えた方は、やはりジョヴァンニの趣味をよくご存知で、かつ美的センスに溢れた方です。

3.と答えた方は、やはりジョヴァンニの趣味をよくご存知で、かつカンディンスキーに特別の思い入れを持つ方です。

4.と答えた方は、人の能力の限界を推し量ることが苦手のようです。ジョヴァンニはこんなに上手な字を書けません。

すみませんが、上の4つの中に正解はありません。「なあんだ、まだましか」と怒らないでくださいね。これは「マグナカルタ写本」の絵葉書です。H大学で部数を限定して作成したもので、ジョヴァンニ秘蔵品の一つです。婚約時代、妻に送ったものです。後で結果的に自分の物になるから、安心して使ったのです。ケチな根性がバレバレですね。

4つの選択肢の中では、4.が最も近いことになります。しかし「写本」ということでは1.が近いですね。ちなみにH大学とは日本にある大学ですよ。なかなか粋なものを作るんですね。

2007年2月13日 (火)

絵葉書の世界

いつもお世話になっている中年とブジェさんの真似をして過去にゲットした絵葉書の紹介を始めることにした。まず手始めは大好きな作品だ。

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これは誰の何という作品でしょう?ジョヴァンニのことだからクレーだろう、と思った方は大変いいセンスをしています。たまたま正解ではありませんが、気持的には大正解です。というか、クレーの作品ですと言い通してもいいかなと思う。本当の作者もきっと怒らないと思う。

正解は駒井哲郎の「分割された顔」だけど、こんなに素晴らしい作品は作者や作品名などを超越して、ただ素晴らしいという事だけで成り立っているような気がする。構成といい、彩色といい、文句のつけようがない。観ているだけで幸せになってくる。私自身、こんな絵葉書を受け取ったら一日中気分がいいだろうと思う。今日はちょっと入れ込みすぎかな?

2007年2月 6日 (火)

韓国古刺繍とポジャギ展

まずこの写真を見てください。「あっクレーの絵かな?」と思いませんか?

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友人のF君からまた展覧会のチラシが届いた。もちろん「行け」というメッセージだ。彼に「行けたら行く」という投げやりなメールを送ったが、結局足を運んでしまった。なんだか彼の呪縛にあっているというか、手の平で踊らされているような感じだな。それはともかくとして展覧会場に行ってみると、クレーの絵を思わせる作品に出会って驚いた。「チョガッポ」と呼ばれる刺繍の作品だ。行ったのは横浜のそごう美術館で開催されている「韓国古刺繍とポジャギ展」。珍しい企画だった。

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解説を読むと、朝鮮王朝の社会では女性の自由が制限されており、外出もままならなかったそうだ。大げさに言えば室内に幽閉された女性たちは、その寂しさを紛らわすために余り布でパッチワークを作り始める・・・というのがルーツらしい。しかしどんな形でも自由に描ける絵筆と異なり、様々な大きさの端切れを集めただけでは物の形を表現しにくい。その結果、具象表現をあきらめ、残された道はそれらを組み合わせて模様を作るということになる。そうなるとクレーの抽象絵画を思わせるコンポジションを探り当てるのは時間の問題といえよう。それにしても、専門的なアートの教育を(たぶん)受けていないであろう人たちが、このような美しい構成を編み出すとは驚きだった。

2007年2月 3日 (土)

作り始めた新作「山鳥の宴」

ブログを始めて1年半の間、作曲にご無沙汰してしまった。編曲はやっていたが、ちゃんとした新曲は作っていない。作りさえすれば発表の機会がある仲間うちのコンサートは今月の24日に迫っている。これはまずい、と急遽作り始めたのが「山鳥の宴」(ピアノ連弾曲)だ。

鳥といえばメシアンを思い出すが、巨匠に対抗して作ろうというのだから相変わらず怖いもの知らずだ。題材があまり拡散してもいけないので、今回は日本の山鳥に絞った。インターネットで野鳥を検索すると、さえずりの音を出してくれるサイトがある。そこから鳴き声を採譜する作業から始めた。そして神秘的な感じを出すために文字通り「神秘和音」やそれに近い四度積み上げの和音を施して構成することを考えた。そのスケッチがこれだ。

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最初はピアノ独奏曲にしようと思ったのだが、それだと制約が多く、複数の鳥たちの声をポリフォニーにする面白さが出せない。そのためピアニストの妻との連弾を想定し、四手連弾に拡大することにした。こうすれば、最低でも2種類の鳥の声を同時に(困難なく)弾くことができる。最大は2人が両手で弾けば4種類可能だが、果たして弾けるかどうか。

2007年2月 1日 (木)

レストラン「多羅葉樹」のこだわり

「多羅葉樹」(たらようじゅ)というレストランに行った。検索すればグルメ情報はいくらでも手に入るので、私はこのオーナーのこだわりについて書いてみたい。名前から一見、植物に入れ込んでいるのがわかるが、それが徹底しているのだ。以下に並べる「こだわり」は以前訪れた時と記憶が混ざっているから、必ずしも最新ではないかもしれない。正確性には欠けるかもしれないが、こだわりの世界を感じ取ってもらえれば嬉しい。

♪レストランの名前には葉と樹が

♪入口では植え込みが迎えてくれる

♪入口のドアのガラス窓にグラヴィールで施された葉の模様

♪中に入ると鉢植えの観葉植物

♪コート掛けは立木をイメージした形状

♪カーテンに刺繍された草花の模様

♪テーブルはもちろん木製

♪テーブルの上の小さな花瓶に挿した一輪の花

♪その下の花瓶敷きに見られる唐草模様

♪ティッシュペーパーにプリントされた草花の絵

♪ランチシートには草花の細密画

♪椅子には美しい木目があり形は葉をイメージ

♪壁面に貼り付けられた枝と葉のオブジェ

♪壁に掛けられた絵にも緑が

♪照明器具はアールデコ調の花弁形

♪壁掛け時計の外枠は木のイメージ

♪吊り戸棚も木製

♪床置きの棚に綺麗な木目が

♪床はフローリング、つまり樹木

厨房へのドアは木製で観音開き

BGMはバロック音楽。楽器は木製が中心。

♪なんとお客の女性まで花柄のワンピース

♪その女性のハンドバッグにまで草花の模様が・・・

♪お勘定です。レジ台には葉っぱの形の受け皿が

うーん、参りました。

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