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2006年12月29日 (金)

2006年美術展回顧

今年の展覧会通いも打ち止めになったので、この一年を振り返ってみたくなった。去年の夏にブログを始め、今年に入って本格的に記事を書くようになると、本末転倒のようだがまるでブログを書くために美術展に通ったような気もする。記録をひもとくと、大小あわせて58もの展覧会に足を運んでいたのだが、これは平均すると週1回を上回る数だ。内容的には、もともと好む抽象画を中心に、ビデオアート、写真など新しい分野に積極的に触れようとした一年だった。

展覧会にランキングを付けるのは、あまりにも主観的に陥るので意味が無いかもしれない。しかしこれだけの数になるとやはり順番を付けてみたくなるのが人情だ。総合評価の順位は次のとおりだ。

     第1グループ(文句なし:大満足)

a. 柄澤齊展(神奈川県立近代美術館 鎌倉)

b. 吉原治郎展(東京国立近代美術館)

c. 堂本尚郎展(世田谷美術館)

d. 宇治山哲平展(東京都庭園美術館)

e. 吹田文明展(世田谷美術館)

f. 詩人の眼-大岡信コレクション展(三鷹市美術ギャラリー)

♪a.について友人から「図録のABを2つとも買ったか?」と聞かれた。図録には柄澤のオリジナル版画がおまけについているのだが、ABの2種類から選ぶという企画だったのだ。彼によると、両方とも買うと後々価値が違うらしい。私はAだけだったが。作品はどれも素晴らしいものばかりで、文句なく今年の筆頭に掲げてよい展覧会だろう。♪b.も良かった。吉原というと「○」をまず思い浮かべるが、抽象、具象の間をさまよいながら独自の世界を確立していった過程をつぶさに見ることができた。♪c., ♪d., ♪e.は言ってみれば「楽しい抽象」という世界だろう。私の好みだ。f.はあまりにも楽しかったので相関図を作ったりして展覧会後の楽しみも倍加した。

     第2グループ(満足)

a. 森治郎水彩画展-具象と抽象の間(茅ヶ崎市美術館)

b. 内田あぐり展(平塚市美術館)

c. 武満徹Vision in Time展(東京オペラシティアートギャラリー)

上記のうち♪a.の「具象と抽象の間」というのは大好きなテーマの一つだが、作品の良さも加

り満足のいく展覧会だった。♪b.も満足だった。ただ展示点数が少ないことだけが不満だっ

た。♪c.もよかった。展示された自筆譜をもっと詳しく見たかったなあ。


     第3グループ(有意義)

a. さよならナム・ジュンパイク展(ワタリウム美術館)

b. ビル・ヴィオラ:はつゆめ(森美術館)

c. ヨロヨロン「束芋」(原美術館)

d. 大竹伸朗 全景(東京都現代美術館)

e. 選抜奨励展(損保ジャパン東郷青児美術館)

f. 楽芸会(ハスキーズ・ギャラリー)

g. オーストラリア現代美術展(ブリジストン美術館)

a., b., c. の3つはビデオアートという分野において草分け、現代の巨匠、日本の気鋭の若手という3人の作家とその作品を知るという意義があった。そのおかげでこの分野について少し理解を深めることができた。♪d.はアーティストはどうやって生まれ、成長するのかという事を考えさせられ、なおかつエネルギーをもらうという意義があった。♪e.は大竹と比べるとまだ知名度を得ていないアーティストたちの多様な個性に触れることができた。♪f.は音楽と美術という二領域の融合という興味深いテーマを実践してくれたので意義があった。彫刻家の岩崎幸之助氏との出会いも大きな収穫だった。♪g.はこれまで未知だったオーストラリアのアートについて一辺に親しみを持つことができた。

さあ来年はどんな展覧会が待っているだろうか。

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コメント

柄澤齊展は見逃してしまいました。
オブジェにも魅力があったということで
残念です。

宇治山哲平は未知の作家だったのですが、
独特のマチエールに、生で見なければわからない
個性が感じられました。

吉原治郎展はまさに充実した「回顧展」で、
吉原の画業をたどっていく楽しみがありましたね。

今年も、よろしくお願いします。

テツさんコメントありがとうございました。宇治山哲平の「生で見る」は有元利夫のテンペラ画風の絵にも言えると思います。(観てきたばかりです。)

柄澤齊展を逃されたのは残念でしたね。でもこれほどのアーティストですからまた展覧会があるかと思います。

今後も「オブジェつながり」でよろしくお願いいたします。

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