« 樹の会 ~なつかしい日本の歌~ | トップページ | 水墨画・日本画展 »

2006年11月18日 (土)

豊穣(みのり)のフェスタ

__43豊穣(みのり)のフェスタ:第10回記念 アラベスク コンサート」(南大沢文化会館 主ホール)に行った。(財)八王子市学園都市文化ふれあい財団・芸術文化活動支援事業の一環だそうだ。出演者の中に友人と知人がいるのでつきあいと言えばつきあいだ。しかし内容的に素晴らしく、聴く人を楽しませる工夫などが参考になったので身内のひいき以上に賛辞を送りたい催しだった。本当だよ。演奏者と面識があったおかげで打上げに「乱入」する特権を得たのは大きかったな。

小林秀雄作曲「落葉松(からまつ)」は昨晩も妻が出演したコンサートで聴いたので、二日かけての聴き比べになった。昨日は普通の歌曲として歌われていたが、本日はソプラノの柳田るりこがまるでオペラのアリアかの如く華麗に歌いあげていたので驚いた。打上げの席で聞いたのだが、彼女は作曲者の小林秀雄を訪ね、曲の解釈について直接話を聞くチャンスを得たのだそうだ。歌曲なのにオペラのアリアみたいに入れ込んで歌いあげるのは、作曲者がそうしたいと真剣に望んでいたことを知ったからだとか。

「ラ・ボエーム」の「冷たき手よ」で柳田るりこの手を取って私たちを羨ましがらせたのはテノールの大久保康明。以前は大学教授の余技という感じだったが、その後進化を遂げ、素晴らしいテノールに変身していた。低い音域からの高い音域まで声の質を変えずに発声し、音程も安定していた。円熟期を迎えたのかな。

メシアンのピアノ曲「プレリュード」より第8番「風に映える影」は初めて聴いたが、素え晴らしい曲だった。ピアノは今野恵子。ソロも良かったが、声楽の伴奏でも微妙な間合いをはかりつつアンサンブルに気を遣いながらも出るところは出るというお手本のような演奏ぶりだった。

「ベビー・エレファント・ウォーク」でフルートとオカリナを持ち替えて吹いたのは折田緑。オカリナがあんなに美しい響きをするなんて知らなかった。音程が非常に良いと思ったが、そう簡単に出来るものではないのだろう。折田緑は、ソロでは「アンダルーズ」を演奏した。

折田緑が同じくフルートの浅田明美とバッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」を演奏した。フルートの音域の制限により4度高く移調したのかな。掛け合いの妙を聞かせ、なかなかの好演だった。浅田明美はソロでは「アンダンテ」を演奏した。

折田緑の「アンダルーズ」の伴奏を手がけたのはギターの佐藤順子。もう一人ギターを弾いたのは佐々木真実子でアルベニスの「アストゥリアス」をソロで弾いた。二人はデュエットで「マイル君とパプ谷のクリマロ君」も演奏した。

私の知人の升谷奈保は冒頭でラフマニノフの「エレジー」を弾き、その後も声楽・器楽の伴奏で4曲に出演した。様々な分野の曲を弾きわける力と人柄の良さであちこちから声がかかっているらしい。トリを飾った柳田るりことの「落葉松」では絶妙のアンサンブルをみせていた。またゲスト出演でヴィニアフスキーの「華麗なるポロネーズ」をヴァイオリンで弾いた栗山安奈の伴奏もつとめた。

Photo_28 今回のコンサートで個性的だったのはナレーションの宮本美知枝だ。曲と曲の合間にナレーションを入れることにより、観客の興味をそらせないという企画のようだ。第10回記念にちなみ、「10」にちなんだエピソードなどをいろいろ披露してくれた。演奏者ではないけれども、逆に最も演奏を盛り上げた功労者かもしれない。打上げでは「女優さん」と呼ばれていた。

そういえば、受付でチケットを渡すと「アラベスク」と描かれた洒落た押し花のカードをもらった。休憩時間のクッキー、お茶のサービスとともに嬉しい心遣いだと思った。

以上のようにタイトル「豊穣(みのり)」のとおり実りの多いコンサートだった。次回もぜひ聴きにこよう

« 樹の会 ~なつかしい日本の歌~ | トップページ | 水墨画・日本画展 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 豊穣(みのり)のフェスタ:

» 作曲講座 『作曲の王道』 第8章 [作曲の王道]
†第8章 頭でっかちな作曲をしていませんか? ~感情移入できない知... [続きを読む]

« 樹の会 ~なつかしい日本の歌~ | トップページ | 水墨画・日本画展 »

最近のトラックバック