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2006年10月 7日 (土)

アートスコープ 2005/2006

Photo_2 ■アートスコープ

「アートスコープ 2005/2006--- インターフェース・コンプレックス(原美術館)に行った。動機は一つ、出展者4人の誰も知らないから。こういうのは宝探しのようなスリルがあってわくわくする。面白い作家や作品に出会った時の充実感はまことに得がたい。逆に思惑から外れた時の落胆度も大きいのだが、それは必要なリスクと割り切っている。そういう意味でアート観賞のなかでも「ハイリスク・ハイリターン」の観賞方法と言えるかもしれない。

この展覧会は、日独2名づつのアーティストがそれぞれ相手国に滞在中に体験して得たことを作品に昇華させるという企画だ。それまで培ったものに異文化のエキスをミックスしたらどうなるか、と考えると興味深い。残念ながら全体としては面白みに欠けたが、新鮮なオーラを発している作品にも出会えたので、収穫はあった。

最も面白かったのは名和晃平(なわ・こうへい)の「Air Cell – A」ならびに「Air Cell – B」の対となった作品だ。アクリルであろうか、透明な四角い箱の中に水泡がたくさん並んでいる。よく見ると縦横に規則正しく配列されているので、真上や真横から見ると複数の水泡が重なり、一つの点に見える。それから少し目をずらすと、いきなり混沌とした世界が広がる。水泡の配列が規則性を失い、バラバラになったかに見えるのだ。そしてさらに目を移動してゆくと、こんどはまた一列縦隊に並びなおす、といった具合だ。また斜めから見ても一列に並ぶ角度があり、それも新鮮な驚きを与える。作りは非常にシンプルだが、そこから複雑な文様を得るというタイプの作品だ。

森弘治(もり・ひろはる)の「美術のための応援」には笑ってしまった。上智大学の応援団が呼ばれて演じたフィルムの上映なのだが、最後に「フレー、フレー、芸術」と叫ぶのがなんとも不可思議な世界だ。メンバーを変えて3回繰り返されるのだが、3回目はどうも作者の演出によるものではないかと思った。間の取り方やリズムがどうも普通の応援と違うんだな。

ゲオルグ・ヴィンターの「東京クララ・シューマン・ラジオ放送局」はこんなインスタレーションもあったのか、と参考になった。原美術館の裏庭を眺めながらヘッドフォンを耳に当てるとシューマンの歌曲集「リーダークライス」の「ある城で」らしき旋律が流れてきた。しかしその中には風のそよぐ音などが混ざっている。庭の木々を風が通りぬける時に発する音とイメージが重なって面白い。

カーチャ・シュトルンツの「恐怖への招待」は打楽器の形をした金属が数多く置かれてそこに音楽が流れているというインスタレーションだ。何が恐怖かわからなかったが、何となく面白かった。もう1つの作品「昨日のこだま」は同じ打楽器状のオブジェを映した映像作品だが、何となく昔の武力交渉を想起させるようだった。そのような説明書きは全く無かったが、強いメッセージが込められているように感じたのだ。

全体として、入場料千円に対し多少不満足ではあったが、リスクの範囲と考えよう。面白いものにも出会えたのでよしとしよう。

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