茂原淳 作陶展Ⅳ・飾る
友人の陶芸家・茂原淳の個展に行った。毎回高校1年のクラスメートが応援に駆けつけ、何かしら作品を購入し、最後には打ち上げを行う。ジョヴァンニは全出席で、なおかつ毎回作品を購入したので最優秀賞だよ。
茅ヶ崎の「ギャラリースペース俊」を根城にして個展シリーズが4回続いたんだ。毎回異なるテーマを掲げ、そのテーマにちなんだ作品が展示されるのが面白い。その間に1回、Bunkamuraでの個展も開催されたんだよ。この5回の個展をまとめてみた。定期的に毎年1回プラスアルファの開催だから大したものだ。作品を準備するのも大変だろう。
2003年05月 ギャラリースペース俊「作陶展Ⅰ・そそぐ」ポット 購入
2004年05月 ギャラリースペース俊「作陶展Ⅱ・盛る」 鉢購入
2005年05月 ギャラリースペース俊「作陶展Ⅲ・呑む」 ゴブレット購入
2006年01月 東急百貨店本店 「作陶展」 鉢 購入
2006年05月 ギャラリースペース俊「作陶展Ⅳ・飾る」 一輪挿 購入
毎回楽しい展示を観せてくれるが、今回は特に様々な形態の作品が並んでおり、華やかさを増していた。同じ一輪挿でも、すっきり伸びた形、くねくね曲がった形などいろいろだ。中にひときわ大きなオブジェが二対あり、「楼蘭Ⅰ、Ⅱ」という名前が付いていた。玄関先に置くといいなと思ったが、お値段もよくて残念ながら購入には至らなかった。ジョヴァンニはサラリーマンなので、あまりゼロが並ぶ作品は買えないのだ。茂原君ごめんね。
私が今回購入した一輪挿は「すらすら・大」という作品名だった。全体が鉛筆を直立させたような形状なのでそう名付けたそうだ。今回はネーミングも興味深いな。4つ同じような作品があって迷ったのだが、安定が良さそうで形が面白いのを選んだ。妻がコンサートで花束を貰ったりしたとき、その中から綺麗な花を選んで挿してみたい。
茂原淳の個展を支えるギャラリーMのMさんがいつもと同様、ギャラリーにおられた。既にシリーズ化しているギャラリースペース俊だけでなく、東急百貨店本店での個展までアレンジした実力者だ。最近は陶芸教室も手がけ、マルチな活躍をされている。Mさん自らは染色を専門に修めたそうで、その裏づけがあるからアーティストの支援もできるのだろう。
またクラスメートの一人で植物画家の松本千鶴さんも駆けつけてくれた。自作の絵を刷り込んだ絵葉書を記念にもらう。最近、イギリスに行き植物画スポットと画集が売られている古本屋巡りをされた。その「戦利品」も自宅を訪ねて見せてもらったが、すごいコレクションだよ。
この個展がきっかけであることを考えた。私のような「素人」と、自分でろくろを操作するぐらいの「通」は観賞者としてどこが違うのだろうかと。多分に言い訳がましいが、私は制作の過程がわからず、完成品としての作品をそのまま観るだけだから、色、形が面白いとか、肌ざわりが心地よいとか、そういう直接的な感じ方をする。これに対して「通」は「薄いのによく割れずに焼いたな」とか、「上薬の塗り方が丁寧だな」とか、そういう制作のプロセスを読み、それを含めて観賞するのではないかと想像した。
素人の肩を持てば「素直に作品と向き合うことができる」ということになろうが、逆に「観賞の深さがまだ足りない」ということにもなるだろう。私は素人としての素直な眼を忘れないようにしつつ、もっと深いところを感じ取るだけの素養を身に付けたいなと思った。
同ギャラリーの2階では「巻子(かんす)を楽しむ - 絵巻再発見」という企画展をやっていた。源氏物語絵巻の原寸大のレプリカがあった。驚いたのはその大きさである。こんなに小さかったのか。その中に絵と文字と飾りの金箔がひしめき合っている。鳥獣戯画も原寸大レプリカがあった。うさぎや蛙が活躍する有名な部分もあったが、珍しいのは戯画というより写生として描かれた部分も展示されていた。牛が喧嘩したり、子牛が母親のおっぱいを飲んでいたり、動物の生態を活写した部分だ。これも面白かった。
現代作家の巻物もあった。印象に残ったのは内山徹の「波の印象」だ。絵巻物の体裁で作られているが、抽象画である。どのようなマチエールを用いたのかわからなかったが、波しぶきのように表面がキラキラ光っていた。抽象だが右から左に眼を転じてゆくと、不思議な魅力を感じる。なんだか巻物に吸い寄せられてゆくような感じだ。全一巻で60万円なり。うーむ買えないな。いっぺんに夢から醒めてしまったぞ。他に池田美弥子の作品も好印象を残した。
この他に速水御舟の絵巻物形式による「書簡」が展示されていた。これは内容を読むことができて面白い。文字はちょっと見にはあまり上手だと思えないが、絵と共に見てゆくうちに味わい深さが感じられて良かった。なお文章と絵の感じが、僅かではあるが岸田劉生の日記に似ていた。なぜだろう?
夜7時になりギャラリーが閉店するので、こんどは別のお楽しみに向かう。「鉄板焼き・茅ヶ崎」は初めて入ったが、綺麗で上品でなかなかの店だった。生ビールで乾杯の後、赤ワインが進んで進んで・・・。あーあ明日は月曜日なのに。



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