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2006年3月13日 (月)

アンコールその1:プリア・カン

さあカンボジア旅行の報告だ。帰国してから筆が進まなかったが、今日Yannさんから励ましの言葉をもらって急に考えが収束に向かったんだ。ようしジョヴァンニ式報告レポートを書くぞー!

というわけでその1を始めるが、最も印象に残ったのはアンコール・トムの北側にある「プリア・カン」だ。少々天邪鬼な趣味と言われそうだが、私はその塀(へい)を内側から見て感激した。長方形を少しいびつにした台形のような石が上下左右に整然と積まれて塀ができているが、それが抽象絵画のように美しく目に映えたのだ。一つ一つの石は大きさ、形、色彩、質感が微妙に異なり強い個性を持っている。その石が多数並べられると、個性の集合体としての塀全体が調和を保ち、なおかつ心地よいリズムを内包している。

だいぶ前にこれと似たものを見たことがある。ハリウッドの中心で、有名人の足型を付けたタイルがはめ込まれた舗道だ。この舗道を上から見ると、似た感じになる。もっともプリア・カンの塀の石には足型がないが。そして極めつけはその塀を建造物の通路を通して見ると、建造物が額縁の役割を果たしてあたかも美術館で抽象絵画を鑑賞しているかのような錯覚にとらわれるのだ。プリア・カン最高!

そしてこの寺院はユニークだ。アンコール遺跡群のなかで唯一、二階建ての建物がある。しかし上へ上る階段が無い。え、なぜ? 古代人は翼を持っていたのか、というのは何かの読みすぎで、現地人ガイドによるとたぶん昔は木でできた階段があって風化したのだろうということだ。なあんだ、つまらないなあ。整然と並んだ円柱に支えられたこの建物は昔訪ねたギリシャのパルテノン神殿を想起させる。規模はパルテノン神殿の方がずっと大きいが、数学的・人工的すぎてどこかよそよそしい。

それに比べて、このプリア・カンの二階建て建造物は堅牢さと優美さを併せもっており、それがたまらない魅力となっている。幾何学模様と動植物を描いたレリーフの配分が適度で、プラトン的・ディオニソス的な性格がほどよく溶け合っているとでも言えようか。


溶け合うで思い出したが、もう一つの特色は異なる宗派の結合という側面だ。プリア・カンを建立したジャヤヴァルマン七世はヒンドゥー教の祭礼と仏教勤行との融和を図ったそうだ。ただでさえいがみ合っている宗派を強引に一緒にするのだから、ずいぶん勇気がいる執政だったろう。

これはレリーフに反映されている。上には仏教代表の仏陀、下にはヒンドゥー教代表の架空動物「ガルーダ」が縦に並べられているという具合だ。幻想芸術を愛する私としては、聖なる鳥「ガルーダ」が9つの頭部を有する毒蛇神「ナーガ」を踏みつけている彫り物を見ることができて嬉しかった。すごい迫力だよ。

というわけでレポート第一弾はこれで終わり。次は何を書こうかな。昨日テレビで「トゥームレイダー」を観たから、次回はそのロケ地「タ・プローム」にしようかな。

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