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2006年3月12日 (日)

宇治山哲平展

__28 「行きたい展覧会」の一つ「宇治山哲平展」(東京都庭園美術館)に行った。期待通り素晴らしい展覧会だった。「今年の私的良かった展覧会」に文句なしにランクインだ。先日観た「堂本尚郎展」とトップを争うな。このような明るい抽象画は元気の素になる気がする。この半券に刷られた作品は「」だが、抽象画でありながら画面いっぱい楽しさで満ちている。展示作品のほとんどすべてがこのような遊び心と楽しさにあふれ、気分よく観賞できた。

_2 二対・三対の屏風絵のような連作は、同じ図象パターンが少しずつ配置を変えて一種のヴァリエーションのようになっているのが面白かった。例えば「やまとごころ」2作(図)はそれぞれ1985年と翌年に描かれたものだが、こうして並べてみると共通の部品の組合わせを少しずつ変えて構成してゆく感じがよくわかる。またこの「やまとごころ」2作をはじめ、「あをによし」、「王朝」などテーマが和風の作品は地肌の色が白か薄いグレーで他作品との差異がみられた。そう言えば宇治山哲平は地肌にこだわり、絵の具に水晶を混ぜて輝きをもたせたそうだ。

__29 一方、「」(図)の下部に見られるように、時おり描かれる三本の平行線は五線紙のイメージを持ち、画面を引き締め、音楽的ともいえる構成感を高めるのに一役買っていた。他の作品でも同じだったが、この三本線の隣には円形の模様が配置されることが多いようだった。それが緊張感を緩和し、画面に優しさと楽しさをもたらしているのかもしれない。

若い頃のキュビズム風の作品も面白かった。「弘二仏」は萬鉄五郎の「もたれて立つ人」を

彷彿させるものがある。両者の交流はあったのだろうか?また「樹No.12」には先日観た「アジアのキュビズム展」で知った「透明キュビズム」を想起させられた。キュビズムではないが同じ頃の作品「石の華」はどこかで見たような記憶があるが、定かではない。幼少期の作品も展示されていたが、「戦争図」などはまるで大人の筆致だ。天才少年だったんだなあ。

せっかくの「庭園美術館」だから帰りに庭園を散策した。広場では好きな抽象彫刻2つにまず挨拶(安田侃「風」と菅原次郎「Inside Out CBG-2」)。そして茶室に向かう。巨大なクロマツが威圧的だ。何の木か、枝が多様に分岐し平面を形成している。その下に梅の花が散ってゆき池の水面に広がる。その下には見事な鯉が悠々と泳いでいる。このような「多層の美」(いい表現でしょ?)はなかなか得られるものではない。いいな、この庭園は。

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現在、芸術会館では自主企画展 生誕100年記念「宇治山哲平・糸園和三郎賛歌」を9月26日(日)まで好評開催中です。
会場には、宇治山、糸園の初期から最盛期にいたる代表的作品約60点を、その様式的変遷を辿りながらご紹介しています。じっくりとご覧になる方が多く、「これまで名前は知っていたけれど、こういう作品を描く人だとは知らなかった。驚きました」など、心安らぐ時間と新しい発見の喜びの声をさまざまにいただいております。
詳しくは、当館HP:http://geijutukaikan-b.oita-ed.jp/をご覧下さい。

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