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2006年1月29日 (日)

堂本尚郎展

__24堂本尚郎展」(世田谷美術館)に行った。素晴らしかった。まだ1月だけど、早くも「今年の私的良かった展覧会」にランクインが決定だ。もしかすると第1位かも知れない。多くの展覧会に行っているけど、展示作品のほとんど全てが良かったのは珍しい。これは誇張ではなく本当にそうだった。今回の展覧会で注目した点は次の3つだ。

1.李禹煥(リ・ウファン)に通じる余白を活かした最近作

2.仏教的思想に通じる□○△の象徴

3.「日本画の抽象」に通じる日本画と洋画のボーダレスな世界

__25 ■1.李禹煥(リ・ウファン)に通じる余白を活かした最近作

2004年以降の作品群はドリッピングというかカンヴァスに絵の具を垂らしただけのシンプルなたたずまいを見せる。余白が活かされ、東洋的だ。そしてその余白が李禹煥を連想させたのだ。作品名も「無意識と意識の間」(図)、「韻」、「一期一会」など象徴的なものが多い。初期作品と比較するとその落差が大きい。

「日本画から始まり西洋の油絵を経て、最後に日本的なものに回帰した」というとカタログの解説的になるが、私はそれより「コンセプチュアルアートに接近した」という解釈を採りたい。というのは、現在ではもはや日本画と洋画の区別はほとんどなく、唯一その具財(岩絵の具と油絵の具)の違いでしか識別できないからだ。これらの作品が一列に並べられたところを観ると、静寂というか、不思議に落ち着いた気分になる。

__26 ■2.仏教的思想に通じる□○△の象徴

昨年、同じ世田谷美術館で開催された「村井正誠・その仕事」展でも見た□、○、△の形状が「宇宙Ⅰ」(図)、「宇宙Ⅲ」などの作品にはめこまれていた。作品自体はきわめて西洋的なモダンなのだが、その背後に東洋の宗教的なものが潜んでいるような気がしてならなかった。この「□、○、△」のオリジナルは画僧仙崖の一幅だそうだが、今後も引き続き私の研究テーマとしよう。

■3.「日本画の抽象」に通じる日本画と洋画のボーダレスな世界

大崎の「O美術館」は最近あまり面白い企画が見られない。(ごめんなさい!)しかし1994年に開催された「日本画の抽象」展は突然変異のように素晴らしい企画だった。私が観たここ20年ぐらいの展覧会の中で、間違いなくベストテンに入る。1.で書いた日本画と洋画の現代的な識別は、実はこの「日本画の抽象」展カタログの受け売りなのだ。(ありがとうございます。)

__27 例えば会場に入ってすぐ眼に飛び込んでくる初期日本画の「」(図)だが、対象(近代都市)といい色彩(油絵のような感じ)といい、西洋画と言っても通るのではないかと思える。右隅に渋い赤色の壁を一種のアクセントカラーとして配し、その隣にやはり渋い緑色の建物を置いて緩和された補色対比を見せている。遠景のビルが中間色ながら様々な色相で変化を出している。手前の舗道に1本だけ寂しそうに立っている葉が落ちた木も詩情を醸し出している。初期作品からしてこのように既に素晴らしいのだが、その後作風を変えていってもどれも見事な作品で驚くのである。

この展覧会には堂本尚郎の伯父・堂本印象の作品が5点ほど展示されていたが、どれも素晴らしい抽象画だ。堂本尚郎の作品も、この展覧会で伯父さんの作品に並んで展示されてもおかしくなかっただろう。東洋と西洋の、決して安易な折衷ではなく、いい意味での融和を実現してくれた画家として堂本尚郎から私は強い印象を受けた。

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