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2006年1月29日 (日)

DONAMI・明日展

Donami__1DOMANI・明日展2006」(損保ジャパン東郷青児美術館:新宿)を観に行った。若手有望アーティストの作品を観て、アートの第一線の様子を知りたかったのだ。文化庁が1967年に発足させた「芸術家在外研修」(新進芸術家海外留学制度)派遣者の競作だ。このような制度はとっくの昔に消えてなくなったと思っていたが、以外に長く(なんと40年にもなる!)継続されているので驚いた。「DONAMI・明日展」は里帰りした派遣者に成果発表の場を提供する「受け皿」という感じの催しで、今回で9回目を迎えるという。着くまでのビル風がきつく埃で目が痛くなったが、結果は思った以上に収穫があった。

一つ不満が残ったので、その点では好感は持てなかった。でも楽しめたからまあいいか。

中ザワヒデキの「シアン、マゼンタ、イエローによるニュー・ヒュレー第2番」(半券の中)は私の大好きな回文を多数散りばめたコンセプチュアル作品で、アイデアとして面白かった。ただ掲示された解説に理屈が多く、純粋に作品としての存在感にいま一つ不満が残ったので、その点では好感は持てなかった。でも楽しめたからまあいいか。

_untitled_1 横溝美由紀の「Untitled図)は大小様々な黒水晶の玉が糸で吊り下げられて立方体状の空間を形成させていた。雨を想起させる作品だが、一種独特の雰囲気が漂い不思議な感動を覚えた。その空間の中に入って内から外を見てみたかったが、それは叶わなかった。

_another_landscape 橋本令子の「Another Landscape(図)は巨大な陶芸作品群にビデオアートを照射するという仕掛けだ。目線が固定せず落ち着かないが、ずっしり動かない陶芸作品と絶えず変化する画像との取り合わせが面白かった。横浜トリエンナーレで観た「鹿児島エスペラント」のような総合的メディアアートの一つの形として楽しめた。

堂本尚郎展

__24堂本尚郎展」(世田谷美術館)に行った。素晴らしかった。まだ1月だけど、早くも「今年の私的良かった展覧会」にランクインが決定だ。もしかすると第1位かも知れない。多くの展覧会に行っているけど、展示作品のほとんど全てが良かったのは珍しい。これは誇張ではなく本当にそうだった。今回の展覧会で注目した点は次の3つだ。

1.李禹煥(リ・ウファン)に通じる余白を活かした最近作

2.仏教的思想に通じる□○△の象徴

3.「日本画の抽象」に通じる日本画と洋画のボーダレスな世界

__25 ■1.李禹煥(リ・ウファン)に通じる余白を活かした最近作

2004年以降の作品群はドリッピングというかカンヴァスに絵の具を垂らしただけのシンプルなたたずまいを見せる。余白が活かされ、東洋的だ。そしてその余白が李禹煥を連想させたのだ。作品名も「無意識と意識の間」(図)、「韻」、「一期一会」など象徴的なものが多い。初期作品と比較するとその落差が大きい。

「日本画から始まり西洋の油絵を経て、最後に日本的なものに回帰した」というとカタログの解説的になるが、私はそれより「コンセプチュアルアートに接近した」という解釈を採りたい。というのは、現在ではもはや日本画と洋画の区別はほとんどなく、唯一その具財(岩絵の具と油絵の具)の違いでしか識別できないからだ。これらの作品が一列に並べられたところを観ると、静寂というか、不思議に落ち着いた気分になる。

__26 ■2.仏教的思想に通じる□○△の象徴

昨年、同じ世田谷美術館で開催された「村井正誠・その仕事」展でも見た□、○、△の形状が「宇宙Ⅰ」(図)、「宇宙Ⅲ」などの作品にはめこまれていた。作品自体はきわめて西洋的なモダンなのだが、その背後に東洋の宗教的なものが潜んでいるような気がしてならなかった。この「□、○、△」のオリジナルは画僧仙崖の一幅だそうだが、今後も引き続き私の研究テーマとしよう。

■3.「日本画の抽象」に通じる日本画と洋画のボーダレスな世界

大崎の「O美術館」は最近あまり面白い企画が見られない。(ごめんなさい!)しかし1994年に開催された「日本画の抽象」展は突然変異のように素晴らしい企画だった。私が観たここ20年ぐらいの展覧会の中で、間違いなくベストテンに入る。1.で書いた日本画と洋画の現代的な識別は、実はこの「日本画の抽象」展カタログの受け売りなのだ。(ありがとうございます。)

__27 例えば会場に入ってすぐ眼に飛び込んでくる初期日本画の「」(図)だが、対象(近代都市)といい色彩(油絵のような感じ)といい、西洋画と言っても通るのではないかと思える。右隅に渋い赤色の壁を一種のアクセントカラーとして配し、その隣にやはり渋い緑色の建物を置いて緩和された補色対比を見せている。遠景のビルが中間色ながら様々な色相で変化を出している。手前の舗道に1本だけ寂しそうに立っている葉が落ちた木も詩情を醸し出している。初期作品からしてこのように既に素晴らしいのだが、その後作風を変えていってもどれも見事な作品で驚くのである。

この展覧会には堂本尚郎の伯父・堂本印象の作品が5点ほど展示されていたが、どれも素晴らしい抽象画だ。堂本尚郎の作品も、この展覧会で伯父さんの作品に並んで展示されてもおかしくなかっただろう。東洋と西洋の、決して安易な折衷ではなく、いい意味での融和を実現してくれた画家として堂本尚郎から私は強い印象を受けた。

2006年1月 7日 (土)

ブラフ18番館 ミニコンサート

恒例になった横浜のサロンコンサートにチェロで出演した。場所は「ブラフ18番館」。横浜の石川町駅から坂を上った「イタリア山庭園」の中にある西洋館だ。まずピアニストの「よいこ」がソロで10曲ほど弾き、その後ヴァイオリン弾きの純ちゃんと私が加わりピアノ三重奏を3曲演奏した。記録のために曲目を書いておこう。

メンデルスゾーン作曲 ピアノ三重奏曲 第1番より第1楽章

ブラームス作曲「ハンガリー舞曲」より第6

 ビートルズ「Yesterday

今回の発見:当初、メンデルスゾーンの1楽章は、さらに省略してダイジェストにするつもりだった。全部やると長いのでお客様が飽きるだろうという考え基づいたものだ。しかしどうもしっくりこないので、結局全部演奏することにした。今日の発見は、「中途半端なトリミングは失敗のもと」という標語にしておこう。

ピアノはプロだが私たちはアマチュアだから,演奏の出来についてはあまり話題にしたくないので省略。今回は勤め先の人も来てくれたので嬉しかった。高校のクラスメートも2名来ると聞いていたが、演奏が終了しても二人はついに現れなかった。ところが、中華街の「景徳鎮」で打ち上げていたら携帯が鳴ってまず会社社長でカラオケ歌手のS君が出現。しばらくして大学教授でテノール歌手のO君も加わった。二人とも演奏を聴くのが目的ではなかったのか???飲み食いが楽しくなったから、まあいいか。メンバの子供(といっても社会人だが)まで参加したから賑やかになった。

二次会は某ホテルの上にあるバーで横浜の夜景を見ながらカクテルを一杯。仕事で近くに来ていた妻が、仕事が終わったので合流。音楽は終わった後の打上げがいいなあ。

茂原淳 作陶展 (東急本店)

__20060107_茂原 作陶展」(渋谷東急本店8階工芸ギャラリー)を観た。友人なのでひいきしているのかもしれないが、上質の作品に触れることができた。今回の展示作品には花器が多かったが、生花は見られなかった。作者によると、花の支援を得ず、花器そのものが鑑賞に耐えうる という事を証明したかったとか。つまり私の言葉に置き換えると、オブジェとしての芸術的価値を認めて欲しい」という事になるかな。いいなあジョヴァンニの趣味がくすぐられた。

中でも角柱形の筒に薄板を貼り付けた巨大な花器が良かった。玄関先にでも置くと映えるとのこと。なるほど見事な作品だ。勿論オブジェとしても見ごたえがある。傘入れにしたら失礼かな、などと皮算用してしまった。高くて買えないのにね。

結果的に私は既に所有していた楕円形の深皿と色違いの作品を購入した。「・・・丹形鉢」とかいう名前だ。金額的にはささやかで悪いなと思ったけど、サラリーマンの収入ではこれがいいところなんだ。共通の友人とティールームでダージリンを飲んで帰宅。

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