河口龍夫展
「河口龍夫展 言葉・時間・生命」(東京国立近代美術館)に行った。
この作家は今回の展示作品に接した限りではコンセプチュアル・アーティストである。旧来の美術の愉しみ(構成、フォルム、色彩など)を期待したら、それは展示の最後のほうのわずかの作品でしか味わえないだろう。このチラシに使われた「睡眠からの発芽」などはそのうちの1つである。つまり純粋に造形美を追っても充分に応えてくれる作品だ。
これに対して他の作品群はコンセプトを味わいながら造形を観ないと面白くない。そして河口龍夫の場合は、このコンセプトがなかなか深いのだ。
例えば「無題」と名付けられた(?)いくつかの作品が並んでいる。それらはばらばらになったピースを組み立てると球や円錐になるという立体パズルの様相を呈している。
そのコンセプトとは:すっきりと組みあがった立体(球を例にとろう)からピースを1つ取り去ってみても全体としては球として認識できる。では2つ取り去ったらどうか、3つでは・・・。そして鑑賞者は「球」、「円錐」などという物の形の定義がいかに曖昧であるかを思い知らされるのだ。これは面白いコンセプトだ。このようなコンセプトがほぼ全ての展示作品に対して付けられている。
また「ラベンダーのプール」では会場に特設されたプールにたくさんの皿が浮き、その中には鉛に包まれたラベンダーの種子が置かれていた。その作品の近くに寄ると微かにラベンダーの香りが漂い、今流に言えば「癒しの空間」を現出していた。コンセプトだけでなく、「香り」という他の要素・側面も取り込んでいた。
以前にも書いたが、私はコンセプチュアルなアートが嫌いだった。今でもその余韻は残っている。この展覧会はつまらない作品もあったが、コンセプトと造形を含めて楽しめた作品も多かった。作者の造形力とコンセプト・ビルディングの両方における力量があったからだろう。












































































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